日本ライフオーガナイザー協会

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2026.06.11

「片づけたい」の奥にある“変化への備え”〜CLOプログラム受講者メンバー5月勉強会


吉村あきこ
吉村あきこ
CLOプログラムディレクターの吉村あきこです。
脳の特性により慢性的に片づけられない人をサポートするための専門的な知識を得られる専科講座CLO資格認定プログラム受講メンバーの5月の勉強会を開催しました。その内容を参加メンバーの花村久美子さんから報告いただきました。

CLO資格認定プログラムとは、 ADHD(注意欠如・多動症)・自閉スペクトラム症・ホーディングと呼ばれる溜め込み癖・脳の機能障がい等を一因として、慢性的に片づけられず日常生活に支障をきたしている状態(Chronic Disorganization=CD状態)の方のサポートに必要となる専門的な知識と技術を継続的に学ぶプログラムです。 >

このプログラムで学んでいるメンバーが、月に一度、Zoomで勉強会に参加しています。

2026年5月の勉強会のテーマは、ICD(Institute for Challenging Disorganization)のプログラム「変化への備え」。心理学者のプロチャスカ、ディクレメンテ、ノークロスが提唱した「変化の6段階」(行動変容ステージモデル)をもとに、片づけの現場でクライアントをどう理解し、どうサポートにつなげていくのかを学び合いました。
花村久美子
花村久美子

 

「片づけたい」の言葉の奥にあるもの

片づけのサポートは、「片づけたいんです」「何とかしたいんです」という言葉から始まることがあります。

けれど、その言葉の奥にある“変化への準備度”は、人によって大きく異なります。同じように「片づけたい」と言っていても、すぐに行動へ移したい方もいれば、まだ迷いや不安の中にいる方もいます。あるいは、ご本人は困っていないけれど、ご家族や周囲の人が困っていて依頼につながるケースもあります。

今回の勉強会では、この「クライアントが今、変化のどの段階にいるのか」を見極めることの大切さについて、メンバー同士で深く話し合いました。

「依頼する人」=「すぐ変わりたい人」とは限らない

行動変容ステージモデルでは、人が行動を変えていく過程をいくつかの段階に分けて考えます。

たとえば、
「いつか変えたい」「このままではいけないかもしれない」と感じている段階。
「そろそろ動き出そう」と準備を始めている段階。
実際に行動を始めている段階。
そして、その前には「今はまだ変える必要性を感じていない」「問題として認識していない」という段階があります。

「変える必要性を感じていない」段階にあるなら、そもそも片づけを依頼することもないのでは?と思われるかもしれません。

でも実際は、ご家族からの依頼や、周囲の困りごとをきっかけにサポートにつながるケースもあります。
家族は「早く片づけてほしい」「すぐに何とかしたい」と思っている。
一方で、物を所有しているご本人は、まだ片づける必要性を感じていない。
あるいは、困ってはいるけれど、変化することへの不安や抵抗の方が大きい。
このように、関わる人それぞれの“変化の段階”が違っていることがあります。

ここを見落としたまま、周囲のスピードに合わせて片づけを進めようとすると、ご本人の反発や不信感につながることがあります。

「よかれと思って提案したのに、動いてもらえない」
「必要なことを伝えているはずなのに、響いていない」
「家族は焦っているのに、ご本人の気持ちがついてこない」

片づけの現場で起きるこうした難しさの背景には、クライアントの性格ややる気だけではなく、“変化への備え”の段階が関係しているのかもしれません。

私自身の経験からも「あの時、他に自分ができることはあったのだろうか」と悶々と考えることがあったのですが、このプログラムと勉強会での意見交換により着地点を見出すことができた感があります。

現場の知恵を持ち寄って

勉強会の後半では、メンバーがそれぞれの現場で見つけた工夫を持ち寄りました。クライアントのプライバシーにあたる部分は伏せながら、出てきた気づきをいくつかご紹介します。

  • クライアントのペースを尊重し、段階的に進める。こちらが考えるペースとのギャップが生まれないよう、早い段階で具体的な見通しを共有する。
  • 「どんな暮らしはしたくないですか?」と逆側から問いかけ、ご本人がストレスに感じていることを一緒に言葉にしていく。
  • その人が大切にしているもの、つい夢中になれること(“やる気のスイッチ”になるもの)を手がかりに、達成感や心地よさをサポートの中に組み込む。
  • 家族間で温度差があるときは、お部屋の写真を一緒に見ながら「どこをどう変えたいか」をそれぞれ印をつけて照らし合わせるなど、認識のずれを“見える化”する。
  • まずは緊急性の高いところから着手し、小さな達成感を得てから、その先の継続を一緒に考えていく。
どれも、「正解を渡す」のではなく、クライアントが自分のペースで変化していくのを支えるための工夫です。

一人ひとりに合った変化のペースを支えるために

CLOプログラムというと、慢性的に片づけに困難を抱える方への専門的な支援、という印象を持たれるかもしれません。もちろん、そうした複雑な背景を持つクライアントを理解するための学びは、CLOプログラムの大きな柱です。

けれど今回の勉強会を通して改めて感じたのは、この学びは決して特別な現場だけのものではない、ということです。

「提案したのに動いてもらえない」「家族間で片づけへの温度差がある」「クライアントのペースと、こちらの考える進め方が合わない」。こうした経験は、多くのライフオーガナイザーが一度は感じたことがあるのではないでしょうか。

そのとき、クライアントが変化のどの段階にいるのかを見極めることで、私たちの言葉がけや提案、サポート全体のあり方を見直すことができます。それは、クライアントが自発的に変化していくのをお手伝いするための学びです。

CLOプログラムを学ぶメンバーの勉強会では、知識を学ぶだけでなく、それを現場でどう活かすのかを、互いの経験を持ち寄りながら、これからも考え続けていきます。

参加メンバーのブログをご紹介します

群馬県在住 清水ゆかさん「私を誰も「矯正」しなかったから。巨大で恐ろしい「時間盲」を乗り越えられた理由

愛知県在住 花村久美子さん 「「片づけたい」と思っていても動けない理由|犬猫と暮らす家を整える心のステップ

 

クライアント対応への不安を減らしたい、これから現場に出たい、もっと自信をもって様々な現場にいけるようになりたい方にも受講をおすすめします。CD状態にあるクライアントの基礎知識講座も定期的に開催しています。
吉村あきこ
吉村あきこ

ライフオーガナイズ?ライフオーガナイザーって何?という方はライフオーガナイズ入門講座の受講をおすすめします。 ライフオーガナイザーに興味がある、という方は、ライフオーガナイザー2級資格認定講座の受講を、ライフオーガナイザーとして活動したい!という方は2級受講後、ライフオーガナイザー1級資格認定講座を受講ください。
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