日本ライフオーガナイザー協会

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2026.04.30

片づけの提案がうまく届かないとき、私たちが目を向けたいこと〜同時通訳付きウェビナー


吉村あきこ
吉村あきこ
CLOプログラムディレクターの吉村あきこです。今月もCLO資格認定プログラム受講メンバー(ICD会員)のみが参加可能なICDウェビナーを受講しました。

ライフオーガナイザー1級資格取得後、協会会員のみがさらなるスキルアップのために受講できる専科資格の1つに「CLO資格認定プログラム」があります。慢性的に片づけられない人をサポートするための専門的な知識を得られる専科講座で、米国の研究団体(ICD)の最新プログラムを日本語で学べる特別なものです。

受講開始すると、日本語に翻訳された40以上の動画・音声プログラムでは30年以上の試行錯誤から得られた確かな知見を学ぶことができます。両方を取り入れることで視野が広がり、柔軟な思考と確かなスキルが身につきます。

ICDがほぼ毎週開催しているウェビナーでは、現代のニーズやトレンドに対応した最新情報を効率的に吸収でき、即実践に生かすことができます。
現地のプログラムなのでもちろん英語ですが、月に1度、プロボノの通訳の方に入っていただき、日本語で学べます。

4月は「ADHDの基礎知識(Introduction to ADHD)」をICDウェビナー受講し、CLOプログラム受講メンバーの愛知県在住 花村久美子さんにレポートいただきました。

花村久美子
花村久美子
今回のウェビナーは、ADHD(注意欠如・多動症)の特性をもつクライアントを支援するプロのオーガナイザーや専門家に向けて、基礎知識と実践的な戦略を学ぶものです。
CLOプログラムの中にも含まれていた内容のアップデート版でもあり、普段動物病院の診療でなかなか受講のタイミングが合わなかった私にようやく来たアタックチャンス!!とても楽しみにしながら参加しました。

アリ・タックマン博士は、米国ペンシルベニア州在住の臨床心理学者で、25年以上にわたり成人・思春期のADHDの診断と治療を専門としてきました。ADHDに関する著書5冊を持ち、米国最大級のADHD会議CHADDの共同議長を務め、2023年にはCHADD殿堂入りを果たしています。850回を超える講演実績があり、ICDの研究諮問評議会のメンバーでもある、ADHD分野を代表する第一人者です。

ADHDにおける実行機能の課題や、日常生活の中で起こりやすい「パフォーマンスの一貫性のなさ」。
そして、片づけの技術だけではなく、薬物療法や環境調整も含めた統合的なアプローチの重要性についても触れられていました。

「わかっているのに、できない」
「やろうと思っているのに、続かない」
「片づけたい気持ちはあるのに、動き出せない」

片づけの現場でも、こうした言葉や状況に出会うことがあります。
けれど、それを単に「やる気の問題」「意識の問題」と捉えてしまうと、支援の方向性を見誤ってしまうかもしれません。

解決策を出す前に、何が起きているのかを見る

今回のウェビナーで私が特に印象に残ったのは、クライアントの困りごとに対して、すぐに解決策を提案するのではなく、まず質問する必要があるという点です。

たとえば「片づけられない」と一言で言っても、その背景は人によってまったく違います。

  • 片づけの計画を立てるところでつまずいているのか。
  • 必要なものと不要なものに気づくことが難しいのか。
  • 動き出すための動機づけがうまく働かないのか。
  • 途中で気が散ってしまうのか。
  • 一度は整っても、維持する仕組みが合っていないのか。

同じ「片づけられない」でも、邪魔をしているものが違えば、必要な支援も変わります。

これは、ADHDの特性がある方への支援に限った話ではありません。
ライフオーガナイザーとして片づけに悩む方をサポートしていると、目の前の困りごとの奥に、思考の癖、生活リズム、家族との関係、体力、感情、過去の経験など、さまざまな要素が絡み合っていることを感じます。
だからこそ、プロとして必要なのは、収納用品や片づけテクニックをたくさん知っていることだけではないのだと改めて感じました。

「良い方法」なのにうまくいかない理由

今は、ADHDの特性がある方に向けた片づけの工夫や、暮らしを整えるための情報が以前よりも手に入りやすくなっています。
たとえば、

  • 見える収納にする。
  • ラベルを貼る。
  • ワンアクションで戻せる仕組みにする。
  • タイマーを使う。
  • 小さな範囲から始める。


など、どれも役立つ可能性のある方法です。
けれど、方法だけを取り入れてもうまくいかないことがあります。

それは、その方法が悪いからではなく、クライアントにとって「どこが壁になっているのか」を見極めないまま、解決策だけを当てはめているからかもしれません。
計画が苦手な方に、細かい片づけスケジュールを渡しても、かえって負担になるかもしれない。
ものの分類で疲れてしまう方に、最初から完璧なカテゴリー分けを求めると、動けなくなるかもしれない。
自尊心が下がっている方に、「これなら簡単ですよ」と伝えることで、できなかったときにさらに傷つけてしまうこともあるかもしれません。

支援する側がよかれと思って出した提案が、相手にとっては「またできなかった」を積み重ねる体験になってしまうこともある。
この視点は先日のCLOプログラム受講メンバーによる勉強会での話題になった「正したい反射」との関連も含めて、片づけのプロとしてとても大切だと感じました。

CLOプログラムで学ぶのは、特別な誰かのためだけではない

CLOプログラムというと、「慢性的に片づけられない方への支援」や「ADHDなどの特性がある方への支援」を学ぶもの、という印象を持たれる方もいるかもしれません。
もちろん、それは大切な学びの一つです。
けれど、今回のウェビナーを聴講して改めて感じたのは、CLOプログラムで得られる視点は、特別なケースにだけ必要なものではないということです。

目の前のクライアントが、なぜ今困っているのか。
何を理解していて、何が実行を妨げているのか。
どんな方法なら、その人の暮らしの中で実際に機能するのか。
そして、支援の過程でクライアントの自尊心を傷つけず、主体性を取り戻していくにはどう関わるのか。
これは、どのライフオーガナイザーにとっても関係のあるテーマではないでしょうか。

片づけの現場では、「これをこうすれば片づく」という正解を渡すだけでは、うまくいかない場面があります。
むしろ、その方の中で何が起きているのかを一緒に整理し、行動につながる道筋を探していくことこそ、ライフオーガナイザーの専門性が問われるところなのだと思います。

学び続けることで、支援の解像度が上がる

今回のウェビナーでは、ADHDに関する知識だけでなく、支援者としてのあり方も問われているように感じました。

困りごとを前にしたとき、すぐに解決策を出すのではなく、まずは問いを立てる。
「なぜできないのか」ではなく、「何が実行を妨げているのか」を考える。
「この方法が正しい」ではなく、「この人にとって機能するか」を見ていく。
その積み重ねが、クライアントにとって本当に役立つ支援につながっていくのだと思います。

こうして継続的に海外の知見に触れ、学びをアップデートできる機会があることは、私自身とてもありがたく思っています。
なぜなら学びは決して遠い世界の話ではなく、日々の片づけ支援の現場に直結しているから。

「片づけが苦手な方を、もっと深く理解したい」
「提案した方法がうまくいかない理由を、感覚ではなく知識として整理したい」
「クライアントの自己肯定感を下げずに、行動につながる支援ができるようになりたい」

そんな思いを持つライフオーガナイザーにとって、CLOプログラムの学びは大きな力になるはずです。

花村久美子
花村久美子
片づけの方法を増やすだけでなく、目の前の人を理解する解像度を上げること。今回のICDウェビナーは、その大切さを改めて感じる時間となりました。

ライフオーガナイズ?ライフオーガナイザーって何?という方はライフオーガナイズ入門講座の受講をおすすめします。 ライフオーガナイザーに興味がある、という方は、ライフオーガナイザー2級資格認定講座の受講を、ライフオーガナイザーとして活動したい!という方は2級受講後、ライフオーガナイザー1級資格認定講座を受講ください。ライフオーガナイザー資格認定講座の詳細や協会概要についての資料請求はこちらから


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