日本ライフオーガナイザー協会

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2026.10.15

片づけの現場は頭の中も忙しい。ワーキングメモリーの負担を軽くする関わり方〜同時通訳付きウェビナー


吉村あきこ
吉村あきこ
CLOプログラムディレクターの吉村あきこです。今月もCLO資格認定プログラム受講メンバー(ICD会員)のみが参加可能なICDウェビナーを受講しました。

ライフオーガナイザー1級資格取得後、協会会員のみがさらなるスキルアップのために受講できる専科資格の1つに「CLO資格認定プログラム」があります。慢性的に片づけられない人をサポートするための専門的な知識を得られる専科講座で、米国の研究団体(ICD)の最新プログラムを日本語で学べる特別なものです。

受講開始すると、日本語に翻訳された40以上の動画・音声プログラムでは30年以上の試行錯誤から得られた確かな知見を学ぶことができます。両方を取り入れることで視野が広がり、柔軟な思考と確かなスキルが身につきます。

ICDがほぼ毎週開催しているウェビナーでは、現代のニーズやトレンドに対応した最新情報を効率的に吸収でき、即実践に生かすことができます。
現地のプログラムなのでもちろん英語ですが、月に1度、プロボノの通訳の方に入っていただき、日本語で学べます。

10月は「脳に合わせて設計する:ワーキングメモリーとオーガナイズ(Designing for the Brain: How Working Memory Shapes Effective Organizing)」を受講しました。

講師のレイラニ・サエス博士(Leilani Sáez, PhD, ACC)は、教育心理学の博士で、国際コーチング連盟(ICF)認定のコーチです。大学の研究職として20年以上、学びや成長の場面でワーキングメモリーがどう働くかを研究してきました。いまはその知見をもとに、頭の中の見えない負担を減らす暮らしや仕事の仕組みづくりを手伝っています。

ワーキングメモリーは「頭の中の舞台」

ワーキングメモリーは、情報を少しのあいだ頭に置いたまま、考えたり決めたり動いたりするための働きです。レシピを読みながら材料がそろっているか確かめ、手順を追って次に何をするかを考える。そのあいだずっと使っています。

サエス博士はこれを「頭の中の舞台(メンタルステージ)」にたとえました。舞台をうまく回すには、次の3つの働きが支えになります。

  • 注意のスポットライト:舞台の上の大事なものを照らす。光が散ると、どこを見ればいいか分からなくなる
  • 抑制のコントロール:舞台裏の扉。関係のない考えや気持ち、まわりの刺激が舞台に上がってこないようにする
  • 切り替え:舞台の幕。場面が変わったら幕を閉じて、次の場面に移る

そして舞台そのものの広さ、つまり一度に置いておける量には限りがあります。大人で4つほどのまとまりと言われているそうです。

片づけは、分ける、比べる、決める、戻す場所を考える、と頭をたくさん使う作業です。片づけの現場では、手と同じくらい頭の中も忙しくなっています。

認知負荷を減らすと、同じ内容でも分かりやすくなる

ワーキングメモリーにかかる負担を「認知負荷」と呼びます。散らかった見た目、複雑な作業、気が散るもの、長い文章、新しく覚えることがあると、負荷は高くなります。

印象的だったのが、グラノーラのレシピを書き直した例です。言葉はほとんど同じまま、変えたのは次の4つだけ。

  • 余白を増やし、まとまりごとに分ける
  • 動作の言葉(予熱する・混ぜる・焼く)を大文字で目立たせる
  • 重なっている言葉や余計な言葉を削る
  • 「焼く」の工程をA・B・Cの小さな手順に分ける

手順の数は8つのまま変わらないのに、書き直したほうはずっと読みやすくなります。チャットにも「余白は大事」「段階に分かれている」と参加者の声が次々に書き込まれました。

そのあと「このレシピは何人分でしたか?」と聞かれ、答えられない人もいました。読んでいるあいだに、舞台から情報が落ちていたわけです。

考えるのが大変そうに見えたら、たぶん本当に大変

サエス博士は、ワーキングメモリーに負担がかかっている人の様子として、話している途中で何を言おうとしていたか忘れる、日付や細かいことで混乱する、話しかけられたり中断されたりするとあわてる、といった例を挙げました。どれも片づけの現場でよく見る姿です。

「クライアントにとって考えるのが大変そうに見えるなら、それはたぶん本当に大変なのです」

クライアントの舞台の広さを変えることはできません。でも、作業の複雑さや関わり方は、こちらで変えられます。

参加メンバーの感想

金子利佳
金子利佳
クライアントの認知の負荷を減らす手法が大変興味深く、舞台を引用されたサポート等、とてもわかりやすかったです。集中させる、無駄な情報や刺激を遮断する、切り替えをサポートする、これらを私達が意識して作業することに加え、無理なくクライアントに提供できるようスキルアップしたいです。
尾上今日子
尾上今日子
オーガナイザーがワーキングメモリーの補助サポートに入るとき、複雑性を下げる努力をする。その具体例が非常に有益でした。
注意関心のスポットライト、クライアントの視点を集中させ、集中の範囲を動かしていくという例えがとてもわかりやすかったです。作業中もしくは作業前の段階でも、クライアントにかかる認知負荷がどれくらいのものなのか、常に意識しておくことが大事だということが伝わりました。

お二人とも「通訳がとても聞きやすかった」と書いてくれました。毎回プロボノで通訳を引き受けてくださる方に、あらためて感謝します。

吉村あきこ
吉村あきこ
片づけが進まないとき、目を向けたいのはモノの量だけではありません。いまクライアントの頭の舞台に、どれだけのものが乗っているか。それを軽くする関わり方を、現場でいかします。

ライフオーガナイズ?ライフオーガナイザーって何?という方はライフオーガナイズ入門講座の受講をおすすめします。 ライフオーガナイザーに興味がある、という方は、ライフオーガナイザー2級資格認定講座の受講を、ライフオーガナイザーとして活動したい!という方は2級受講後、ライフオーガナイザー1級資格認定講座を受講ください。ライフオーガナイザー資格認定講座の詳細や協会概要についての資料請求はこちらから。


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