日本ライフオーガナイザー協会

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2026.09.02

「片づけられない」のサイクルは断ち切れる?当事者だった講師の答え〜同時通訳付きウェビナー


吉村あきこ
吉村あきこ
CLOプログラムディレクターの吉村あきこです。今月もCLO資格認定プログラム受講メンバー(ICD会員)のみが参加可能なICDウェビナーを受講しました。

ライフオーガナイザー1級資格取得後、協会会員のみがさらなるスキルアップのために受講できる専科資格の1つに「CLO資格認定プログラム」があります。慢性的に片づけられない人をサポートするための専門的な知識を得られる専科講座で、米国の研究団体(ICD)の最新プログラムを日本語で学べる特別なものです。

受講開始すると、日本語に翻訳された40以上の動画・音声プログラムでは30年以上の試行錯誤から得られた確かな知見を学ぶことができます。両方を取り入れることで視野が広がり、柔軟な思考と確かなスキルが身につきます。

ICDがほぼ毎週開催しているウェビナーでは、現代のニーズやトレンドに対応した最新情報を効率的に吸収でき、即実践に生かすことができます。
現地のプログラムなのでもちろん英語ですが、月に1度、プロボノの通訳の方に入っていただき、日本語で学べます。

8月は「CDのサイクルを断ち切ることはできるのか?~当事者の視点から( Is it Possible to Break the CD Life Cycle? From a Lived Perspective.)」を受講しました。

講師のアリソン・ラッシュ氏(Alison Lush)は、カナダ・ケベック在住のICDマスタートレーナー。CPO-CD®(慢性的に片づけられない状態にあるクライアントを支援する専門資格)をはじめ複数の認定を持ち、ICDの会長も務めた、この分野を代表する専門家のひとりです。ICDの功績をたたえる賞を複数回受賞し、日本を含む世界各国で講演をしてきました。

そして何より、アリソンさん自身が、かつて慢性的に片づけられない状態の当事者でした。自らサイクルを抜け出した経験と、2010年から積み重ねてきた支援の経験。その両方を持つ人が「サイクルは断ち切れるのか?」という問いに答える。今回はそんなクラスでした。

慢性的に片づけられない状態(CD)のサイクルは、断ち切ることができるのか?

この問いに、講師のアリソンさんはタイトルで先に答えています。「YES!——当事者の経験から」。

とはいえ、根拠のない励ましではありません。アリソンさんは現在、完全オンラインで、カナダ・アメリカ・イギリス・オーストラリアなど9か国のクライアントと、毎週11のグループセッションを行っています。毎週顔を合わせるのは45名。今回のクラスは、そのうち25名の記録(うち11名は本人へのインタビューつき)を分析した、いわば「現場からの研究報告」でした。

「ビフォー」の声に、現場の風景が重なる

まず紹介されたのは、支援を始める前のクライアントの言葉です。

「恥はブラックホールのよう」
「私の何がおかしいの?」
「夜、帰宅してドアを開けるのが憂うつだった」
「怠けているといつも感じて、それが罪悪感の引き金になった」

日本の片づけの現場で聞く言葉と、驚くほど重なります。散らかった部屋そのものより先に、恥・不安・自分を責める気持ちが積み上がっている。国が変わっても、CDの内側の風景は同じなのだと感じました。

「アフター」の声が示すもの

一方、支援を続けたクライアントの「いま」の言葉です。

「片づけ切れていないものはまだある。でも、それが頭の中を占領していない。日常に影響しなくなった」
「自己肯定感が育って、恥が取り除かれたことが、人生の多くを形づくった」
「怠けていたんじゃなくて、障壁があっただけ。ならば、どう取り除く?と考えられるようになった」

注目したいのは、誰も「家が完璧に片づいた」とは言っていないことです。変わったのは、モノより先に、自分との関係。ICDが使う生活の質の指標(CQLS)でも、大きく数値が改善したケースが複数紹介されました。

鍵は「片づいたか」ではなく「行き詰まっていないか」

このクラスでいちばん心に残ったのが、アリソンさんのこの言葉です。

「決定的なのは、やるべき作業が残っているかどうかではなく、その人が『行き詰まり』を感じているかどうかだと私は考えています」

やることがまだ残っていても、「作業は残っている。でも、私はやれる!」と思えているなら、その人はもうCDのサイクルの中にいない。逆に言えば、私たちが支援で目指すのは「完璧に片づいた家」ではなく、「自分で前に進める」という感覚なのです。

そのための転換として、2つのマインドシフトが紹介されました。

  • 見えるものから、内面へ

散らかり(見えるもの)ではなく、その人の内側で起きていることに焦点を当てる

  • たまったモノから、日々のメンテナンスへ

長年のバックログより、まず毎日の暮らしを回す練習から始める


バックログから手をつけたくなるのが人情ですが、あるクライアントは「毎日使うキッチンから始めたことで、たまったモノは実は緊急ではないと学べた。スキルが身についた今、バックログにも落ち着いて向き合えている」と語っていました。

恥は、安全な場で力を失う

もうひとつ印象的だったのが、グループというかたちの力です。クライアントの声にはこうありました。

「同じように行き詰まっている仲間を知ることが、恥をかき消してくれた」
「ほかの人の道のりを目撃することが、何かを解錠してくれる。『私はひとりだ』という思い込みが崩れていく」

散らかりは道徳の問題ではない

この前提を共有できる安全な場では、恥が少しずつ力を失っていく。個人サポートが中心の日本のライフオーガナイズでも、この「恥を引きはがす場」をどうつくるかは、これからの大切なテーマだと感じました。

現場で今日から使える視点

クラスの終盤では、クライアントに人気の具体的な戦略も共有されました。
「タスクとプロジェクトを区別する」
「避けていることに気づく練習」
「できたことリスト(TA DAHリスト)」
「作業する前に、まずその場所を『訪ねる』だけでいい」

どれも比較的手軽に、明日の現場でそのまま使えるものばかりです。

サポートの土台として挙げられた言葉も紹介します。「プロジェクトは、家ではなくあなた自身(You are the project!)」。片づけの主役はモノでも収納でもなく、その人。JALOが大切にしてきた考え方と、深いところで響き合うクラスでした。

吉村あきこ
吉村あきこ
「作業はまだ残っている。それでも、私はやれる!」——クライアントがそう言える日のために、学びを現場に持ち帰ります。

ライフオーガナイズ?ライフオーガナイザーって何?という方はライフオーガナイズ入門講座の受講をおすすめします。 ライフオーガナイザーに興味がある、という方は、ライフオーガナイザー2級資格認定講座の受講を、ライフオーガナイザーとして活動したい!という方は2級受講後、ライフオーガナイザー1級資格認定講座を受講ください。ライフオーガナイザー資格認定講座の詳細や協会概要についての資料請求はこちらから


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