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2026.08.18

「完璧じゃなくていい」完璧主義とこだわりのあいだで、私たちにできること〜CLOプログラム受講者メンバー7月勉強会


吉村あきこ
吉村あきこ
CLOプログラムディレクターの吉村あきこです。
脳の特性により慢性的に片づけられない人をサポートするための専門的な知識を得られる専科講座CLO資格認定プログラム受講メンバーの7月の勉強会を開催しました。その内容を参加メンバーの清水優佳さんから報告いただきました。

CLO資格認定プログラムとは、 ADHD(注意欠如・多動症)・自閉スペクトラム症・ホーディングと呼ばれる溜め込み癖・脳の機能障がい等を一因として、慢性的に片づけられず日常生活に支障をきたしている状態(Chronic Disorganization=CD状態)の方のサポートに必要となる専門的な知識と技術を継続的に学ぶプログラムです。 >

このプログラムで学んでいるメンバーが、月に一度、Zoomで勉強会に参加しています。

清水優佳
清水優佳
先日のCLOの勉強会では、「完璧主義」をテーマに学び合いました。メンバーそれぞれが、自分自身やクライアントさんの経験、そしてそれをどう和らげてきたかを持ち寄る時間です。私にとっては、「完璧主義は断念するものではなく、仕組みで和らげられるもの」だと、改めて実感する会になりました。

私自身の完璧主義

私は昔、「完璧な卒論を書かなければ」と思うほど手がつけられず、先延ばしを重ねてギリギリで大失敗したことがあります。家事も同じで、「完璧にやらなければ」と思うと、かえって一歩も動けなくなってしまう。

転機は、夫のひと言でした。「0より、20%でも進んだほうがいいだろ?」と、実際に20%だけやる姿を何度も見せてくれたのです。頭で理解するのではなく、体感として「20%でも進んだほうがずっといい。」と腑に落ちたとき、少しずつ動けるようになりました。勉強会で先輩が「それは心理療法の考え方に近いね」と教えてくれて、自分の経験が知識とつながる感覚がありました。

仲間の言葉から

ある方は強迫性障害があり、「完璧にしたい」というこだわりが自分でも嫌なのに、やめられない苦しさを話してくれました。別の先輩は、「経験を積むうちに、自分の中の完璧なんて思い込みだったと気づいた」と。他には「いつものルールを変えてみる練習をして、それでも大丈夫なことを確認していった」という例も。一人で抱えると苦しい完璧主義も、分かち合うと少し軽くなるような気がしました。

クライアントに多いケース

  •  「いつかちゃんと取り組みたい」と思うほど、趣味の本が溜まっていく
  •  完璧に分別してから捨てようとして、かえってゴミが溜まっていく
「いつか完璧に」という気持ちが、かえって物事を止めてしまう。特にごみの分別と処分で行き詰まる方は、とても多いようでした。

完璧主義と「こだわり」は違う

勉強会の最後に、みんなで「完璧主義」と「こだわり」の違いを整理しました。

こだわり 完璧主義(問題になる側)
駆動力 好きだから・大事だから(接近) ミスや評価が怖いから(回避)
自己価値との関係 満たせなくても自分の価値は無事 満たせないと自分がダメだと感じる
柔軟性 場面で緩められる・優先順位がつく 全部に一律・緩めると不安

こだわりは、その人の「好き」や「大切」から生まれる力。完璧主義は、「怖い」から自分を守ろうとする回避です。だから私たちがお手伝いするのは、「こだわり」を手放すことではなく、その人を動けなくしている「怖さ」の方を和らげること。そう考えると、進め方がやさしくなる気がします。

「ちゃんとしなきゃ」が「こうしたい」を追い越すとき

発達障害のある方(実は私自身もそうなのですが)の完璧主義は、「高い理想」から来ているというより、「これ以上、否定されたくない」という怖さから来ていることがよくあります。「どうしてできないの」と言われ続けた経験が積み重なると、失敗が単なるミスではなく、自分の存在を否定される“拒絶”のように感じられてしまうのです(RSD=拒絶過敏性と呼ばれます)。

こうなると、「本当はこうしたい」という好きな気持ちより、「ちゃんとしなきゃ」「間違えたら終わりだ」という怖さのほうが大きくなって、体が動かなくなる。先ほどの表でいえば、「好きだから(接近)」のこだわりが、「怖いから(回避)」の完璧主義に呑み込まれてしまう状態です。

だから最初に必要なのは、「もっと頑張ること」ではなくて、「これだけ頑張ってきたんだから動けなくなって当然だ」と、自分に許可を出すことなのかもしれません。

私たちにできること

完璧主義の背景には、「人に頼れない」「自分で解決しなきゃ」という思い込みが隠れていることも少なくありません(“受援力”という言葉もあります)。頼っていい、と思えることも、片付けの大切な一歩です。

私たちにできるのは、完璧主義を叱ることでも、無理にゼロにすることでもありません。クライアントさんと信頼関係を築きながら、ご本人の目標のために必要なだけ完璧主義をそっと和らげること。そして、処理の負担を補う技術や、「完璧じゃなくても、これでいい」と思えるツールを、いつでもお渡しできるように準備しておくこと。

清水優佳
清水優佳
「0か100か」ではなく、「20%でも進めた自分」を認められる。そんな関わりを、これからも大切にしていきたいと思います。

 

クライアント対応への不安を減らしたい、これから現場に出たい、もっと自信をもって様々な現場にいけるようになりたい方にも受講をおすすめします。CD状態にあるクライアントの基礎知識講座も定期的に開催しています。
吉村あきこ
吉村あきこ

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