日本ライフオーガナイザー協会

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2026.09.29

新しくなったスケールを読みながら基本を再確認〜CLOプログラム受講者メンバー9月勉強会


吉村あきこ
吉村あきこ
CLOプログラムディレクターの吉村あきこです。
脳の特性により慢性的に片づけられない人をサポートするための専門的な知識を得られる専科講座CLO資格認定プログラム受講メンバーの9月の勉強会を開催しました。

<CLO資格認定プログラムとは、 ADHD(注意欠如・多動症)・自閉スペクトラム症・ホーディングと呼ばれる溜め込み癖・脳の機能障がい等を一因として、慢性的に片づけられず日常生活に支障をきたしている状態(Chronic Disorganization=CD状態)の方のサポートに必要となる専門的な知識と技術を継続的に学ぶプログラムです。 >

このプログラムで学んでいるメンバーが、月に一度、Zoomで勉強会に参加しています。

今回のテーマは、改訂されたクラター・ホーディング・スケールです。日本語版の翻訳を進めているメンバーから前の版との違いを説明してもらい、そこからCD状態の定義という基本に戻って、現場の話に広がりました。

レベル1でも、専門の知識は必要

クラター・ホーディング・スケール(C-HS®)は、住まいの中の状態から、モノの量と環境のリスクを5つの段階で表すツールです。ICDが開発し、日本語版も無料で読めます。

いちばん反応が大きかったのは、レベル1の説明が変わったところでした。

前の版には「オーガナイザーが作業する場合、CDに関する特別な知識は不要です」と書かれていました。新しい版では、レベル1でも「慢性的に片づけられない状態にある人と関わるときは常に専門的な知識が必要」、という書き方になっています。レベル2も同じく、知識が要ると明記されました。

モノが少ない家でも、その人が何に困っているかは外からは分かりません。知識がなくても現場に入れる、という話ではないということです。

レベル3はひとつの分かれ目とされていて、ここからは慢性的に片づけられない状態についての深い知識と、医療や福祉につながるネットワークが必要になります。レベル4以上は様々な専門家によるチームでの対応が前提です。

一時的なのか、ずっと続いているのか

ここから話は、そもそもCD状態とは何を指すのかに戻りました。
スケールは住まいの状態を5段階で表すものなので、その人が慢性的に片づけられない状態にあるかどうかは、このスケールでは分かりません。別のものさしを使います。

ICDは、CD状態を3つの点で定義しています。

  • 長い間片づかない状態がつづいている
  • 片づかないことで日常生活がうまく回らない
  • 自分で片づけても、また元に戻ってしまう

片づけられない状態には様々あり、転勤や出産、家族の介護などの転機が重なった時期は、誰でも家の中が回らなくなります。その変化に慣れたり生活が落ち着いてくると片づいた状態を取り戻すことができ、ずっと続いているわけではありません。一時的な状態=SD状態(situational disorganization)と呼んでいます。勉強会では、子どものころからの傾向が手がかりになる、という声が挙がりました。

この定義・視点をもつことによって支援の仕方が変わります。一時的に手が回らないSD状態の方には、その時期を乗り切る手立てが要ります。長く続いている方には、やり方そのものを変えたうえで、続けられる仕組みを一緒に作ります。一般的な片づけの方法を試しては戻る、を繰り返してきた方に、同じ方法をもう一度渡しても続きません。

マスクは、普通のもので足りるのか

話が具体的になったのは、現場に入るときの装備の話題でした。
C-HS®の改訂版でも、段階ごとに必要な防護用具(PPE)が示されています。

ほこりだけなら一般的な不織布のマスクで足りることもあります。ただ、床にたまった粉じんが舞う場所や、カビの可能性がある場所ではそれでは足りません。防じんマスクやゴーグル、手袋も用途や状況にあわせて様々備えておきたいところです。フル装備で現場に入るケースも紹介されました。

カビの影響は軽く考えないほうがいい、とメンバーが話していました。古い建物での長時間の作業では、自分の健康を守る前提が要ります。動物がいるお宅では、その動物の皮膚の状態から人に移ることもあります。

安全の確認は自分のためだけではありません。玄関や廊下にモノが積み上がっていると、何かあったときに出られなくなります。避難できる動線が残っているかを最初に押さえておく。これも改訂版が5つのカテゴリーで扱う内容と重なります。

スケールは、クライアントを評価するものではない

C-HS®の使い方の話でも迷うという声がありました。
家全体でひとつの段階を付けるのか、部屋ごとに付けるのか。健康と安全のカテゴリーと、建物と設備のカテゴリーが、どちらも当てはまるようで判断に迷う。

整理しておきたいのは、このスケールが住まいの状態を表すためのものであって、そこに住む人を評価するものではないことです。改訂版では、環境の深刻さと暮らしへの影響だけを扱う、と最初のページに書かれました。

使い方として出たのは、現場の状態を俯瞰するためのチェック項目として持つ、という形でした。段階を言い当てることが目的ではなく、見落としているところがないかを確かめるために項目を追う。写真と合わせると、自分の見立てと実際のずれにも気づけます。

写真については、作業前と作業後を並べると変化が伝わりやすいという報告もありました。一方で、撮られること自体を負担に感じる方もいます。撮る目的を伝えてからにする、見せ方に気をつける。ここは相手によって変わります。

協働できそうな専門家の連携先を、先に持っておく

自分たちだけでは引き受けられない場面の話にもなりました。
床材の交換・リフォームが必要なほど傷んでいる場合や、通常の清掃では追いつかない汚れがある場合です。

そうした作業は専門の業者に引き継ぐことになりますが、探すのは現場が始まってからでは遅くなります。地域ごとに、信頼できる相手をあらかじめ探しておく。自治体の窓口に問い合わせる、実際に依頼した人の話を聞く。メンバーの間では、自分の身の回りで先に試してみたいという人もいました。

不用品の引き取りも同じです。引き取った後に適切に処理されているかどうかまで知っておく必要があります。

おわりに

今回は、改訂されたスケールを読みながら、現場でどう使うかを持ち寄る時間になりました。新しい道具の話をしているうちに、CD状態とは何を指すのかという基本に戻ったのが、この日の収穫だったように思います。

ツールが新しくなると、それまで自分が何を基準にしていたかにも気づきます。
レベル1なら知識はいらないと書かれていた文が変わったことは、この分野の理解が進んでいることの表れだと思います。

クラター・ホーディング・スケールは、ICDのリソース(日本語版)のページから、どなたでも読むことができます。新しい版の日本語への翻訳も進んでいます。

現場(自分)の安全の話は地味ですが、毎回どこかで出てきます。自分の身を守れていないと、クライアントのことも支えきれません。ライフオーガナイザーとして装備の話をあらかじめしておくことも、信頼を作る手順のひとつだと思っています。

 

 

クライアント対応への不安を減らしたい、これから現場に出たい、もっと自信をもって様々な現場にいけるようになりたい方にも受講をおすすめします。10月にはCLO資格認定プログラム申込み受付がスタートします。CD状態にあるクライアントの基礎知識講座も定期的に開催しています。
吉村あきこ
吉村あきこ

ライフオーガナイズ?ライフオーガナイザーって何?という方はライフオーガナイズ入門講座の受講をおすすめします。 ライフオーガナイザーに興味がある、という方は、ライフオーガナイザー2級資格認定講座の受講を、ライフオーガナイザーとして活動したい!という方は2級受講後、ライフオーガナイザー1級資格認定講座を受講ください。
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