日本ライフオーガナイザー協会

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2026.09.24

モノの多さを5段階でみる。クラター・ホーディング・スケールの改訂版が公開されました


吉村あきこ
吉村あきこ
CLOプログラムディレクターの吉村あきこです。提携する米国の研究団体ICDが、片づけの現場で使われてきたツール「クラター・ホーディング・スケール」の改訂版を公開しました。何が変わったのかと、そもそもどんなツールなのかをご紹介します。

ライフオーガナイザー1級資格取得後、協会会員のみがさらなるスキルアップのために受講できる専科資格の1つに「CLO資格認定プログラム」があります。慢性的に片づけられない人をサポートするための専門的な知識を得られる専科講座で、米国の研究団体の最新プログラムを日本語で学べる特別なものです。

慢性的に片づけられないCD(Chronic Disorganization)状態とは、長期間にわたって物や情報が整理されずに溜まり続け日常生活に支障をきたす状態を指します。一時的な乱れや散らかりとは違い持続的な問題であり、自分で片づけようとしたにもかかわらず改善しない場合があります。ADHD(注意欠如・多動症)、自閉スペクトラム症、ホーディングと呼ばれる溜め込み癖、脳の機能障がい等を一因として関与していることがあります。
(※ADD、ADHDを持つ人全てが片づけられないというわけではありません。)

片づけられない、物が多いとお悩みの方には、現状を客観的に捉えてできていること、サポートが必要なことを理解する必要があります。

クラター・ホーディング・スケールとは

クラター・ホーディング・スケール(C-HS®)は、住まいの中を見て、モノの量と環境のリスクを5つの段階で表すツールです。ICDが開発し、世界各国で使われています。日本語版を含む9言語に翻訳されていて、どなたでも無料で読むことができます。

大事なのは、これが住まいを見るためのものであって、そこに住む人を判定するものではないことです。改訂版では、その点が最初のページにはっきり書かれました。環境の深刻さと暮らしへの影響だけを見る、精神医学的な評価とは切り離されている、という説明です。片づけの専門家だけでなく、医療や福祉の専門家が安全や衛生の状態を把握するときにも使えるように作られています。

段階は5つです。レベル1の緑から始まり、青、黄色、オレンジ、いちばん重いレベル5の赤まで。それぞれの段階に、5つのカテゴリーの目安が並びます。建物や設備の状態、動物や害虫、家の中の機能、健康と安全、そして作業する人が身につける防護用具です。

ICDは、レベル3をひとつの分岐点だと考えています。モノが多い家として見られる状態と、ホーディングの住環境として深く考える必要がある状態の境目です。レベル3以上に関わるときは、慢性的に片づけられない状態についての知識と、医療や福祉につながる地域のネットワークが必要になります。

現場では「共通の言葉」として使えます。

このツールがあると、「かなり散らかっている」「うちはひどいほうだと思う」といった感覚の話を、同じ視点で評価することができます。ご本人と話すときにも、他の専門職と連携するときにも、認識をそろえる助けになります。

テレビで“ゴミ屋敷”と呼ばれる映像の印象から、モノが多い家がすべて溜め込みだと受け取られがちです。実際には、建物の安全や衛生がどうなっているかで、必要な手立ては変わります。5つの段階で見ると、いま何が足りていないのかが具体的になります。

今回の改訂で変わったところ

英語版の完全版は、2026年3月4日付でICDのサイトに掲載されました。全16ページで、前の版より3ページ増えています。改訂に関わったのは、シーラ・デルソン氏をはじめとする5名のCPO-CD®です。

今回の翻訳にあたってはCLOプログラム受講メンバーの花村久美子さん(愛知県)福田麻美さん(大阪府)に協力いただきました。

CLO資格認定プログラムには、C-HS®について詳しく学ぶプログラムも含まれています。

5つの段階と5つのカテゴリーという骨組みは、これまでと同じです。変わったのは次のようなところです。

1. レベル1の一文

いちばん大きい変更は、前の版のレベル1には「オーガナイザーが作業する場合、CDに関する特別な知識は不要です」と書かれていました。新しい版では「慢性的に片づけられない状態にある人と関わるときは、常に専門的な知識が必要です」に変わりました。

モノが少なく見える家でも、その人が何に困っているかは外からは分かりません。段階が低いから知識がいらない、とは言えないということです。

2. カテゴリーの名前と中身

「ペットや害虫」だったカテゴリーは「動物(野生動物・ペット・害虫)」になりました。飼っている動物だけでなく、家に入り込む野生動物もアセスメント対象に入ります。

「衛生面と安全性」は「健康と安全」になり、衛生の状態に加えて、空気の質やにおいが項目として並びました。医薬品の管理も引き続きこのカテゴリーです。

3. 補足の3本が新しく入った

巻末に、これまでなかった解説が3つ加わりました。

  1. 動物のホーディング 
    研究者ゲイリー・パトロネック氏らの定義を引きながら、世話が行き届かないまま動物が増えていく状態と、介入には獣医療や行政など複数の分野が関わることが書かれています。
  2. 重度の住環境の不衛生状態(Severe Domestic Squalor)
    ゴミや汚れが積み重なり、住む人にも働く人にも健康上の危険が生じている状態を指します。ホーディングを伴うことが多い一方で、ホーディングが必ずこの状態になるわけではないこと、社会とのつながりが途切れている場合が多いことが説明されています。
  3. 医薬品の捨て方
    トイレに流さない、中身が分からないものと混ぜてから密閉して捨てる、容器の個人情報を消す、といった手順が紹介されています。これは米国FDAの案内にもとづくものなので、日本で作業するときはお住まいの自治体の決まりを確認してください。

日本語版について

こちらのページ「ICDのリソース」から日本語版のクラター・ホーディング・スケールをダウンロードすることができます。

完全版と、現場で確認しやすいクイックガイドの2種類があります。

同じページには、クラターが暮らしにどう影響しているかを本人が振り返るためのクラター・クオリティ・オブ・ライフ・スケール(CQLS)や、10種類のファクトシートも日本語で並んでいます。

その他、慢性的に片づけられない人へのサポート方法を知りたい方はJALOオンラインショップより書籍を購入いただけます。

吉村あきこ
吉村あきこ
ツールは、相手を分類するためのものではありません。いまどの状態なのかを一緒に確かめて、次に何をするかを決めるためのものです。現場で使ってみると、自分ひとりで抱えず専門家の助けを借りる分岐点がわかります。

ライフオーガナイズ?ライフオーガナイザーって何?という方はライフオーガナイズ入門講座の受講をおすすめします。 ライフオーガナイザーに興味がある、という方は、ライフオーガナイザー2級資格認定講座の受講を、ライフオーガナイザーとして活動したい!という方は2級受講後、ライフオーガナイザー1級資格認定講座を受講ください。ライフオーガナイザー資格認定講座の詳細や協会概要についての資料請求はこちらから。


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