日本ライフオーガナイザー協会

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2026.07.22

「完璧にできないなら、やらない」の奥にあるもの〜同時通訳付きウェビナー


吉村あきこ
吉村あきこ
CLOプログラムディレクターの吉村あきこです。今月もCLO資格認定プログラム受講メンバー(ICD会員)のみが参加可能なICDウェビナーを受講しました。

ライフオーガナイザー1級資格取得後、協会会員のみがさらなるスキルアップのために受講できる専科資格の1つに「CLO資格認定プログラム」があります。慢性的に片づけられない人をサポートするための専門的な知識を得られる専科講座で、米国の研究団体(ICD)の最新プログラムを日本語で学べる特別なものです。

受講開始すると、日本語に翻訳された40以上の動画・音声プログラムでは30年以上の試行錯誤から得られた確かな知見を学ぶことができます。両方を取り入れることで視野が広がり、柔軟な思考と確かなスキルが身につきます。

ICDがほぼ毎週開催しているウェビナーでは、現代のニーズやトレンドに対応した最新情報を効率的に吸収でき、即実践に生かすことができます。
現地のプログラムなのでもちろん英語ですが、月に1度、プロボノの通訳の方に入っていただき、日本語で学べます。

7月は「不安からくる完璧主義がオーガナイズや生産性の妨げになるとき、どうすればいいか(What to Do When Anxious Perfectionism Gets in the Way of Organizing/Productivity)」をICDウェビナー受講し、CLOプログラム受講メンバーの愛知県在住 花村久美子さんにレポートいただきました。

講師のクラリッサ・オング博士(Clarissa Ong, Ph.D.)は、ルイビル大学心理・脳科学部の助教です。行動科学とプロセスベースの原理にもとづいて、一人ひとりに合わせた介入法を開発・検証する研究を続けており、専門はACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)、強迫関連症(ためこみなど)、そして完璧主義。完璧主義に伴う不安をACTで扱う一般向けの著書『The Anxious Perfectionist』(Michael P. Twohig博士との共著・New Harbinger社)もあります。今回のクラスは、博士がまさに専門とするテーマでした。

花村久美子
花村久美子
学んだら即アウトプット!新陳代謝ばっちりの花村久美子です。今回のウェビナーは、クライアントにライフオーガナイザーとしてどう寄り添い、どのように行動の一歩を支えられるのかを考えるうえで、とても示唆の多い内容でした。

片づけの現場では、 「片づけたい気持ちはあるのに、なかなか手が動かない」 「どう決めたらいいかわからず、作業が止まってしまう」 「理想の状態にできないなら、やる意味がないと感じてしまう」 という場面に出会うことがあります。

一見すると、片づけの方法や収納の問題に見えることもあります。けれど実際には、「ちゃんとやらなければ」という思いの強さや、失敗したくないという不安が、行動のブレーキになっていることがあります。

片づけを止める「問題となる完璧主義」とは

今ウェビナーでは、問題となる完璧主義の特徴が、次のように紹介されていました。

  • 過度に高い、自分への基準
  • その基準へのかたくなな固執
  • 基準を満たせないときの苦しさ
  • 自分の価値が、基準を満たせるかどうかに結びついている
片づけの場面で考えると、たとえば次のような「自分ルール」として表れます。

「何ひとつ無駄にできない」
「片づけるのにまとまった時間がとれないから、片づけない」
「人を家に呼ぶなら、見苦しくない状態にしておかなければならない」
ライフオーガナイザーなら、こうした言葉や空気感に心当たりがあるのではないでしょうか。

クライアントが怠けているわけでも、やる気がないわけでもない。むしろ、真面目で、責任感があり、よく考えているからこそ、決められなくなることがあります。

「失敗したくない」「間違えたくない」「ちゃんとできない自分を見たくない」

そんな不安が強くなると、片づけは「暮らしをラクにするための行動」ではなく、「自分の価値を試される場」のようになってしまいます。その結果、判断が止まり、先延ばしが起こり、さらに自分を責める。このループが、片づけをますます難しくしていくのです。

不安をなくすのではなく、つきあい方を変える

今回のウェビナーで印象的だったのは、不安をなくすことを目指すのではなく、不安があっても大切な行動を選べるようにする、という視点です。

前提として説明されていたのは、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)が育てようとするのが「心理的柔軟性」だということです。問題となる完璧主義の中心にあるのは、高い基準そのものよりも、そこへの頑固さ・厳格さ。だから、考え方を無理に変えさせるのではなく、柔軟さを取り戻す方向で関わっていきます。

そのうえでオング博士は、3つのスキルを紹介していました。

  • 開く(Open):不快な感情や不安を無理に消そうとせず、そこにあるものとして扱う
  • 気づく(Aware):今この瞬間に意識を向け、自分の考えや感情に気づく
  • 関わる(Engaged):自分にとって本当に大切な価値観に沿って行動する

クラスでは、自分が従っている「ルール」を書き出して、それに従うことが本当に役に立っているかをたしかめる練習も紹介されていました。これから1週間、1日に1回、あえて自分のルールを破ってみましょう、という小さな実験です。「何が起こるか、好奇心を持って見てみましょう」という誘い方でした。

「関わる」については、価値観は目的地ではなく方向、という説明がありました。たとえば「愛されたい」は自分ではコントロールできませんが、「人に愛情を持って接する」なら今日から選べます。そして、大きな意気込みよりも動きの積み重ね。いきなり長い距離を走り出す人がいないように、まずは近所を歩くことから。「今週、寄付するものを2つ決める」くらいの小さな目標でいい、という具体例もありました。

完璧な状態を一度で完成させることよりも、「その人が大切にしたい暮らしに、今日どんな小さな一歩をつなげられるか」を一緒に考えること。これは、ライフオーガナイズの現場でもとても大切な視点だと感じました。

完璧を目指すより、大切なことに近づく片づけへ

「完璧にできないから、やらない」ではなく、「不完全でも、大切なことのために一歩踏み出す」。

今回のウェビナーを通して、片づけ支援において大切なのは、クライアントの不安を取り除くことだけではなく、不安がありながらも、その人が望む暮らしに近づく行動を一緒に見つけることだと、改めて感じました。質疑では、「不安があるからといって、人生を前に進めるのを止めるわけではない」という言葉もありました。

ICDの学びを続けるにつれ、「片づけられない」の背景にあるもののあまりの多さに圧倒されそうになります。これはまさに「すべて完璧に学ぶことができるのか?」という不安。私の中の完璧主義によるものです。

花村久美子
花村久美子
片づけに悩む方へ、根拠のあるサポートを提供したい。それが私の目標です。これに近づいていけるよう、小さなゴールである「発信する」ことを続けていきます。

ライフオーガナイズ?ライフオーガナイザーって何?という方はライフオーガナイズ入門講座の受講をおすすめします。 ライフオーガナイザーに興味がある、という方は、ライフオーガナイザー2級資格認定講座の受講を、ライフオーガナイザーとして活動したい!という方は2級受講後、ライフオーガナイザー1級資格認定講座を受講ください。ライフオーガナイザー資格認定講座の詳細や協会概要についての資料請求はこちらから


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