吉村あきこ

CLOプログラムディレクターの吉村あきこです。今月もCLO資格認定プログラム受講メンバー（ICD会員）のみが参加可能なICDウェビナーを受講しました。

ライフオーガナイザー1級資格取得後、協会会員のみがさらなるスキルアップのために受講できる専科資格の１つに「CLO資格認定プログラム」があります。慢性的に片づけられない人をサポートするための専門的な知識を得られる専科講座で、米国の研究団体（ICD）の最新プログラムを日本語で学べる特別なものです。

受講開始すると、日本語に翻訳された40以上の動画・音声プログラムでは30年以上の試行錯誤から得られた確かな知見を学ぶことができます。両方を取り入れることで視野が広がり、柔軟な思考と確かなスキルが身につきます。

ICDがほぼ毎週開催しているウェビナーでは、現代のニーズやトレンドに対応した最新情報を効率的に吸収でき、即実践に生かすことができます。 現地のプログラムなのでもちろん英語ですが、月に1度、プロボノの通訳の方に入っていただき、日本語で学べます。

12月は「意思決定ツールと戦略：オーガナイズできない状態と先延ばしを減らす(Decision-Making Tools and Strategies to Reduce Disorganization and Procrastination)」をICDウェビナー受講しました。

吉村あきこ

講師はスーザン・ラスキー氏です。

ラスキー氏は、ADHDや実行機能コーチングのスペシャリストであり、「ADDitude magazine」への寄稿やNAPO（全米プロフェッショナルオーガナイザー協会）での講座作成など、第一線で活躍されている方です。

今回のウェビナーでは、私たちにとっても非常に身近な「決断疲れ」や「先延ばし」がテーマ。 「意志が弱いから決められない」のではなく、アプローチを変えれば解決できる。そんな希望を感じられる、とても実践的な内容でした。

■片づけが進まないのは「決断のアプローチ」のせいかも？

クローゼットの整理を始めたけれど、「捨てるか残すか」悩みすぎて疲れ果ててしまったり、収納グッズを買おうとしてサイズや種類の多さに圧倒され、結局そっと画面を閉じてしまったり……。 そんな経験、誰にでも一度はあるのではないでしょうか？

ラスキー氏は、こうした先延ばしやフラストレーションの原因を、個人の性格ではなく「決断のシステム」の問題として捉えています。

■「やるか否か」と「どうやるか」を分ける

決断に圧倒されてしまう時、私たちは性質の異なる2つの問いを同時に抱え込んでいることが多いそうです。

・一次的決断（やるか、やらないか）：根本的な方向性
・二次的決断（どうやるか）：具体的な方法

例えば、「このコレクションを手放すか？」と悩みながら、同時に「メルカリで売る？友達にあげる？やっぱり捨てる？」と方法論まで考えてしまうと、脳はキャパオーバーを起こしてしまいます。

まずは「手放すかどうか」という大きな方向性（一次的決断）だけを決める。 「どう手放すか」は、そのあとで考えればいい。 決断を2段階に分けるだけで、心理的なハードルはずっと低くなります。

■小さな決断を「人生の一大事」にしない

ラスキー氏の話でハッとしたのが、決断の「重要度」についてです。

脳が疲れていると、ペンの置き場所のような「些細な決断」にも、まるで家の購入やリフォームのような「人生の一大事」と同じくらいのエネルギーを使ってしまうことがあります。

だからこそ、意識的に「決断のコスト」を下げる工夫が必要です。 「机の上の整理は15分で決める」とタイマーをセットしたり、「1年以上使っていない安価なモノは即処分」といったマイルール（自動化）を設けたり。

小さな決断にエネルギーを浪費しないことで、本当に重要な判断のために脳の体力を温存することができます。

私たちの意志力は、使えば使うほど消耗する「筋肉」のようなものだと言われています。

今回のウェビナーを通じて、片づけやオーガナイズに必要なのは、自分を無理やり奮い立たせる「気合い」ではなく、「完璧」を手放して脳の荷物を減らしてあげる「思いやり」なのだと改めて感じました。

吉村あきこ

CLOプログラムでは、こうした海外の先進的な知見を、日本の片づけの現場に落とし込みながら学びを深めています。 もしご興味があれば、ぜひ協会の情報をチェックしてみてくださいね。