吉村あきこ

CLOプログラムディレクターの吉村あきこです。
脳の特性により慢性的に片づけられない人をサポートするための専門的な知識を得られる専科講座CLO資格認定プログラム受講メンバーの10月の勉強会が開催されました。その内容を中矢くみこさんから報告いただきました。

＜CLO資格認定プログラムとは、 ADHD（注意欠如・多動症）・自閉スペクトラム症・ホーディングと呼ばれる溜め込み癖・脳の機能障がい等を一因として、慢性的に片づけられず日常生活に支障をきたしている状態（Chronic Disorganization＝CD状態）の方のサポートに必要となる専門的な知識と技術を継続的に学ぶプログラムです。 ＞

このプログラムで学んでいるメンバーが、月に一度、Zoomで勉強会に参加しています。

今月のCLOプログラム受講者メンバーによる勉強会のテーマは、「インタービジョン」でした。2024年のJALOカレッジでも実践している様子を紹介しました。はじめて体験するメンバーも多かったのですが、私自身、「解決が目的ではない」「洞察力を深める」質問の難しさを実感しました。

中矢くみこ

インタービジョンは「質問」で視界を広げる専門家の学びの場

「インタービジョン」は、同じ専門家同士がフラットな立場で現場の事例を共有し、質問を通して、お互いの視点や考え方を広げていく対話の場です。

整理収納・片付けの専門家として、私たちはつい「解決策」や「正解」を求めてしまいがちです。しかし、この対話では、質問者が自分の意見や分析を織り交ぜた誘導的な質問はNGとされています。だからこそ、質問から生まれた気づきに素直に向き合うことができるのです。質問により「その点は気づいていなかった。自分も直面している共通の課題だな」と思える瞬間がいくつもあり、CD状態のクライアントサポートの専門家としての視野が広がります。

サポートに活かす！「正解をもとめない」質問の奥深さ

参加したメンバーの振り返りでは、「つい解決したいという目線で質問を考えてしまう」「自分が興味があることを質問をしてしまいがち」「誘導しようとしてしまう」といった、専門家としての「思考のクセ」が露呈しました。

最後に、吉村さんがお話しされた「私たちの正解をベースに進めるものではない。プロとして、現状を俯瞰してとらえるための視点を得る練習がインタービジョン」という言葉が、とても印象的でした。

CD状態の方へのサポートにおいては、私たちの正解を押し付けることはできません。相手に気づかせようとするのではなく、質問を通し、自分の思考・関わり方のクセを見つめ直す。この「内省の機会」こそが、多角的な視点が必要なCLOメンバーにとって非常に重要だと実感できました。

「しっくりこなさ」が現場で効いてくる！継続的な学びの魅力

インタービジョンの場では、すぐにピンと気づきを得る質問もあれば、その場ではしっくりこないまま終わる質問もあります。

しかし、この「しっくりこなさ」をしばらく反芻していると、後日オーガナイズのサポート中や、お客様との対話の中で「あ、そういうことか！」と腑に落ちる瞬間がありました。

「その場で答えをだすこと」が目的ではないからこそ、気づきがじわじわと深まっていく。この「あとから効いてくる学び」は、複雑な要因が絡むサポートにおいて、専門家としての引き出しを増やす上で、インタービジョンの最大の魅力なんですよね。

中矢くみこ

今回のインタービジョンを通じて、私たちが普段、無意識に「解決」に向かってしまっていることに気づけました。CDサポートの現場では、お客様ご自身が「自分にとっての正解」を見つけられるよう、私たちは焦らず、問いかけを続ける姿勢が求められます。インタービジョンという新たな視点を持ち合わせることで、より層の厚いサポートにつながると確信しています

参加メンバーのすでに公開されている発信をご紹介します。

ふるさと あいこさん　「学習記録｜コミュニケーションと人間関係」

花村久美子さん　「視野を広げるインタービジョン～問いが導く片づけサポートの本質」

クライアント対応への不安を減らしたい、これから現場に出たい、もっと自信をもって様々な現場にいけるようになりたい方にもCLOプログラムの受講をおすすめします。次回の募集は4月を予定しています。

吉村あきこ