日本ライフオーガナイザー協会

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2025.05.28

神経多様な子どもたち(ニューロダイバージェント)のための効果的な学習環境作り〜同時通訳付きウェビナー


吉村あきこ
吉村あきこ
CLOプログラムディレクターの吉村あきこです。今月もCLO資格認定プログラム受講メンバー(ICD会員)のみが参加可能なICDウェビナーを受講しました。

ライフオーガナイザー1級資格取得後、協会会員のみがさらなるスキルアップのために受講できる専科資格の1つに「CLO資格認定プログラム」があります。慢性的に片づけられない人をサポートするための専門的な知識を得られる専科講座で、米国の研究団体(ICD)の最新プログラムを日本語で学べる特別なものです。

受講開始すると、日本語に翻訳された40以上の動画・音声プログラムでは30年以上の試行錯誤から得られた確かな知見を学ぶことができます。両方を取り入れることで視野が広がり、柔軟な思考と確かなスキルが身につきます。

ICDがほぼ毎週開催しているウェビナーでは、現代のニーズやトレンドに対応した最新情報を効率的に吸収でき、即実践に生かすことができます。
現地のプログラムなのでもちろん英語ですが、月に1度、プロボノの通訳の方に入っていただき、日本語で学べます。

5月は「神経多様な子どもたち(ニューロダイバージェント)のための効果的な学習環境作り – Effective Organization for Neurodivergent Kids in Any Learning Environment」を受講しました。

登壇者のウェンディ・ザンダーズ氏は、自身がADHDの診断を成人期に受けました。小学校時代には学業不振に苦しんだものの、高校では成績優秀者リストに載るまでになったという経歴があります。家族には、うつ病、自閉症、ADHDに関わる人がいて、スペシャルニーズの母親でもあります。
個人的な経験、家族の状況、そして専門家としての知識や認定資格が組み合わさることで、神経多様性のある子どもたちのオーガナイズや片づけというテーマに深い関心を持ち、スペシャルニーズに関わるコーチ兼プロフェッショナルオーガナイザーとして活動しています。

今回のプログラムでは、ADHDや自閉症スペクトラムなどの特性を持つ子どもたちが直面するオーガナイズの問題を解決するための実践的な戦略や、個々の学習スタイルを理解することの重要性を学びました。様々なケーススタディ具体的なテクニックが紹介され、小さなステップから始めることやポジティブな強化についても語られました。

【オーガナイズが難しいのには理由がある:神経多様な子どもたちの特性】

● 情報が「視覚的に散らばって」見える
ADHDや自閉症スペクトラムなどを持つ子どもたちにとって、空間はとても複雑で処理しきれない情報にあふれています。脳内で情報が「あちこちに散らばって見える」感覚があり、それがホーディングや混乱、片づけの困難さにつながっています。

● 感覚過敏と“いつものモノ”への固執
「同じ服ばかり着たがる」「古いぬいぐるみを手放せない」などは、心地よい刺激や安心感を求める自然な行動です。親が不思議に思うそのこだわりには、本人なりの“安全基地”が隠れていることを理解する必要があります。

● 決断が難しいという現実
「どれを残して、どれを手放すか」
それは大人でも難しいことです。子ども自身に選ばせることは大切ですが、選ぶための環境や言葉がけ、視覚的な補助など、配慮のあるサポートが不可欠です。

【学習環境に合わせたオーガナイズの工夫】

子どもたちの学びの場は多様化しています。

  • 従来の学校
  • ホームスクール・フリースクール
  • オンライン学習

それぞれの環境に適した整理法があります。たとえば、オンライン学習ではデジタルツールとリアルな学習環境の両立が求められ、ホームスクールではルーティン化された仕組みが助けになります。
「今、この子がどんな環境で学んでいるか」を理解した上で、空間の整え方を柔軟に変えることが大切です。

【子どもの学び方に合わせたオーガナイズのヒント】

子どもにも「学習スタイル」があります。

視覚型:見て覚える(図・色・写真・ロゴなどが有効)
聴覚型:聞いて理解する(音声、会話、音楽など)
身体感覚型:体で覚える(手を動かす、体験する、実験する)

例えば、銀行口座のラベルにロゴマークを使うと視覚型の子に効果的です、タスクを“3か所だけ集中しよう”とゲーム感覚に落とし込むのはADHDの子にぴったりです。

【ケーススタディで見るオーガナイズ支援の実例】

たとえば、聴覚型で時間の感覚がつかめず、集中が続かない子には、視覚的なタイマーとアラームで「終わりが見える」工夫を取り入れ、好きな音楽を流しながら作業することで、聴覚優位の集中力が活かされるなど、それぞれ学習スタイルの違いにあわせたケーススタディの紹介がされました。

【オーガナイズは一度きりで終わらない:「プロセス」としての支援】

オーガナイズは「一度やったら終わり」ではありません。

  1. 手放す
  2. オーガナイズする
  3. 成果を出す
  4. 維持する

この4ステップを繰り返しながら、継続的に成長を支えていきます。
3ヶ月ごとの見直し、安心できる環境の提供、責任感を持たせるルールづくり、そして何より子ども自身が「自分で決めた」という実感を持てるような工夫が必要です。

その他、モチベーションと達成感を支える工夫自分自身をオーガナイズするために行っていることなど盛りだくさんにシェアいただきました。

子どもが“片づけられない”のではない。支援が必要なだけ。

私たち大人にできるのは、子どもたちが「自分なりのオーガナイズの仕方」を見つけられるような環境とまなざしを届けること。診断やレッテル貼りではなく、その子の感覚や行動を丁寧に観察し、「あなたはこのままでいい」と伝えることが、何よりのスタートになります。

オーガナイズ支援は、親子の関係、学び、自己肯定感、将来の自立までつながる“未来への橋渡し”。できることから、少しずつ、始めてみましょうと講師は語っていました。

CLO資格認定プログラムは、これから現場に出たい、もっと自信をもって様々な現場にいけるようになりたい方にも受講をおすすめします。年2回募集を行っております。次回は10月を予定しています。詳細は資格の案内ページをご覧ください。
吉村あきこ
吉村あきこ

ライフオーガナイズ?ライフオーガナイザーって何?という方はライフオーガナイズ入門講座の受講をおすすめします。 ライフオーガナイザーに興味がある、という方は、ライフオーガナイザー2級資格認定講座の受講を、ライフオーガナイザーとして活動したい!という方は2級受講後、ライフオーガナイザー1級資格認定講座を受講ください。ライフオーガナイザー資格認定講座の詳細や協会概要についての資料請求はこちらから


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